みんなで守ろうなごやの生きものたち。

池干し

背景

ため池の水を農業用水として利用していたころ、農作業を終えた冬には池から水を抜き、底にたまったドロや土砂を取り除き、堤防や水門の点検修理を行っていました。

冬の間中、天日にさらされた池底では腐敗物の分解、殺菌が行われ、春の菜種梅雨を受けて水が貯まっていきました。取り除いたドロは肥料として活用し、捕らえたコイやフナ、モロコなどは冬場の貴重なタンパク源として食されていました。池干しは、地域の人々の暮らしを支えながら、多様な生きものたちのすみかの環境も守ってきました。

ため池の用途が利水から治水へと変わると池を干す慣習も見られなくなりましたが、ため池の在来種を守ることを目的として、外来生物を除去する池干しが注目され始めています。

また、池干しはため池の生態系の調査にとっても重要です。

実施目的と内容

ため池内の生きものの生息状況を詳細に調査するとともに、生きものを捕獲し外来種(オオクチバス、ブルーギル、ミシシッピアカミミガメ、カムルチーなど)を除去することを通し、ため池の生物多様性の保全に役立てます。

池干しを地域の団体や学校と一緒に行うことで、地域の環境保全の取り組みを促進し、子どもたちには生きものとのふれあいを通じて自然を守る意識を育てます。

池干しモニタリング調査

過去に池干しを実施した池やこれから行う池について生物調査や植生調査等を行い、池干しの影響について調べます。

・茶屋ヶ坂池におけるモニタリング調査
  •  平成28年10月16日(日)に平成25年度に池干しを行った茶屋ヶ坂池において第3回目となるモニタリング調査を行いました。市民調査員をはじめ24名の方に参加して頂きました。
  • モニタリング調査の様子

池干しの流れ

池干し当日は、捕獲した生物の展示と説明、ため池の歴史や地域の人たちの活動を紹介します。

1. 地引網で魚等の追い込み田植えの様子
2. 捕獲田植えの様子
3. 魚等の洗浄と選別田植えの様子
4. 捕獲された生きものの展示田植えの様子
5. 除去生物の運び出し田植えの様子
6. 在来種を保護生簀
(近隣の池に設置)へ移動
田植えの様子

平成25年度の池干しの結果速報

11月17日(日)に、千種区茶屋ヶ坂公園内の茶屋ヶ坂池で池干しを行いました。小学生をはじめとする地域住民の方々、市民生きもの調査員、専門家など110名が池内の活動に参加したほか、見学者を含めると360名の方に参加いただきました。

池の水位を下げ、水の残った部分において地引網を使って魚を集め、タモ網ですくって生物採集を行い、池に生息している生物を調査しました。また、採集した生物の展示を行い、参加者や見学者の方々に池の生物について知っていただきました。
在来の生物では、モツゴやニホンイシガメ、ヒメタニシなどが確認できました。池に生息していた生物の大半は外来種で、ブラックバスやブルーギルなどを取り除きました。
また、外来の植物ではホテイアオイを取り除きました。

池の様子
池の様子

生物採集の様子
生物採集の様子

採集生物の選別
採集生物の選別

ニホンイシガメ
ニホンイシガメ(在来種)

オオマリコケムシ
(手前)オオマリコケムシ(外来種)

オオクチバス
オオクチバス(特定外来生物)

平成24年度の池干しの結果報告

11月10日(土)に、守山区小幡緑地内の竜巻池で池干しを行いました。小学生をはじめとする地域住民の方々、専門家など200名が池内の活動に参加したほか、見学者を含めると450名の方に参加いただきました。

わずかに水の残った部分において地引き網や手づかみでの生物採集をおこない、採集した生物を展示しました。 また、このうち外来の魚類(ブラックバス・ブルーギルなど)140kgを除去しました。
また、池際の外来の植物(セイタカアワダチソウ)も約30kgを除去しました。

池の様子
池の様子

生物採集の様子
生物採集の様子

生物採集の様子2
生物採集の様子2

ニホンスッポン
ニホンスッポン

ヌマガイ
ヌマガイ

ブルーギル
ブルーギル(特定外来生物)

平成23年度の池干しの結果報告

11月3日(木・祝)、天白区のほぼ中央に立地する天白公園内の大根池で池干しを行いました。小学生をはじめ多くの市民、研究者・専門家など約600人が池内の活動に参加したほか、見学者を含めると約1,200人もの参加がありました。

  1. 1. 事前調査
    池の状況(水深、池底の地形、水質など)や生息・生育する生物(水生動物、鳥類、植物)の調査を行いました。
  2. 2. 池干し
    約600名の参加者が、護岸沿いや池の中にある島の周辺でタモ網や手づかみでの生物採集に汗をかきました。また、島の探検や、採集した生物の観察を行いました。
    10月上旬から水を抜き始めた池は水深が10センチメートル程度になっていたものの、予想以上にヘドロの層が厚く、中には、はまりこんで足が抜けなくなってしまった参加者も。しかし、日頃は体験することのできない池に入っての活動に、楽しそうに取り組んでいました。
    今回、池干しを行った大根池では、モツゴなどの小魚、スジエビなどのエビ類、ヒメミズカマキリなどの水生昆虫が多く、また、市内ではほとんど見られないオオタニシやヌマガイが見つかるなど、多様な在来の生物が生き残っている貴重なため池であることが分かりました。これは、ブルーギルやブラックバスなどの捕食性の強い外来生物が少ないことが要因と考えられます。この環境が今後も維持されるよう、見守っていきたいものです。

池の様子
池の様子

生物採集の様子
生物採集の様子

ヒメミズカマキリ
ヒメミズカマキリ

ヌマガイ
ヌマガイ

ウシガエル
ウシガエル(特定外来生物)

カムルチー
カムルチー(要注意外来生物)

採集した生物の展示コーナー
採集した生物の展示コーナー

成果報告の様子
成果報告の様子

過去の池干しの成果

平成21年度に池干しを実施した昭和区の隼人池では、ブラックバスやブルーギル、コイを取り除いたことで、翌年には、池干し時にはあまり見られなかったモツゴが大繁殖しました。また、池干し時にはいなかったフナの稚魚の遊泳が見られます。

平成22年度に実施した守山区の雨池では、ヒシが再生しました。

ページの先頭へ戻る